何が違うの?呼吸器疾患におけるレントゲン撮影とCT検査の違いとは?
はじめに
長引く咳や息切れ、胸の違和感があると「これって喘息?」と当院を受診される方は少なくありません。しかし実際には、喘息と似た症状を示す病気は喘息以外にも数多く存在します。そのため、正確な診断には、可能性のある病気の除外診断 がとても重要となります。 そこで役に立つのが CT検査。当院では、さまざまな呼吸機能検査機器と総合病院レベルの綺麗な画質の16列マルチスライスCT を導入しており、レントゲンや超音波検査では見つけにくい箇所の、より小さな病変まで発見することができ、精密な診断を行うことが出来ます。
当院では必要時に即日CT検査を実施し、高画質の画像を当院の呼吸器外科専門医である医師が読影し結果を説明いたします。また、必要に応じて連携医療機関の放射線科専門医によるダブルチェック体制で見逃しを防ぎ、速やかに結果をご説明致します。
CTを設置していないクリニックですと、CT検査が必要な場合は後日に画像診断センターで撮影をしたり、総合病院に紹介することになり、結果が得られるまで最低でも1週間程度、長いと1ヶ月程度かかることがあります。迅速な検査は迅速で適切な治療への近道となります。
喘息と似た症状を示す病気
喘息の代表的な症状は、咳・息切れ・呼吸時の喘鳴(ヒューヒュー、ゼェゼェという音)です。
ところが、これらの症状は喘息以外の病気でも見られることがあります。
• COPD:(慢性閉塞性肺疾患): 主に喫煙が原因で、慢性的な咳、痰、息切れが特徴です。喘息と同様に発作的な呼吸困難を伴うこともあります。
• 咳喘息:喘鳴や呼吸困難がない代わりに、長期間続く乾いた咳が主な症状です。
• 心不全:(心臓ぜん息): 虚血性心疾患や心臓弁膜症などが原因で、発作性の呼吸困難が起こることがあります。
• アトピー咳嗽:アレルギー体質の方に見られる、長引く咳が特徴です。気管支拡張薬への反応が乏しい場合があります。
• 肺がん: 長引く咳や息切れなどの症状が出ることがあり、喘息と区別が必要です。
• 肺炎:(細菌性、マイコプラズマなど): 解熱後も続く咳が特徴的なものがあります。マイコプラズマ肺炎では喘鳴が起こることもあります。
• 百日咳: 特有の激しい咳発作(痙咳発作)を特徴とします。 などなどです。
レントゲンとCTの違い 咳や息切れがあると、まず最初に行われるのが 胸部レントゲン検査 です。
レントゲンは肺の大まかな状態を把握するのに役立ちます。被曝量も少なく、簡便です。
しかし、レントゲンには弱点もあります。
• 小さな影や初期の病変は写りにくい
• 肺や気管支の細かい変化までは確認できない
• 医師によって画像の解釈が異なることがある
そのため、レントゲンによる画像診断で、必要十分な診断ができない場合、
医師の判断で、より精密な検査が必要な場合に選ばれるのがCT検査 です。
CT検査の強み
• 肺の状態を細かく精密に知ることができる
• レントゲンでは分からない小さな影や病変も発見できる
• 肺炎や肺がんなど、喘息以外の病気を高確率で除外できる
つまり、CTは「喘息を直接診断する検査」ではなく、
“喘息と似た症状を示す他の病気を見落とさないために必要になる検査” です。
特に当院では 16列マルチスライスCT を導入しており、低被曝で短時間で高精細な画像を得られるため、右図のようにレントゲンでは分かりにくい腫瘍などの病変もCTでは明らかな所見として見ることができ、「咳や息切れの原因が本当に喘息なのか」「他の病気が隠れていないか」を明確に判断できます。
ご自分の症状で気になることがある方はいつでもお気軽にご相談ください!
